キッチンカーを開業するためには、営業許可(飲食店営業)を取得する必要があります。
保健所が定めた基準を満たさなければ取得できないため、キッチンカーを準備する前に基準を把握することが第一歩です。
この記事では、キッチンカーの営業許可を取得する方法や流れをわかりやすく解説します。
キッチンカーの施設検査で保健所が確認する設備や注意点も解説するので、キッチンカーの開業をお考えの方はぜひお役立てください。
キッチンカーの営業許可とは
キッチンカーの営業許可とは、キッチンカーで飲食物を調理・販売するために必要となる飲食店営業許可のことです。
令和3年6月の改正食品衛生法施行前は「飲食店営業」「菓子製造業」「喫茶店営業」の3種類に分かれていましたが、現在は飲食店営業に1本化されています。
食品を安全に提供できる衛生環境が整っているかを確認するためのもので、保健所が定めた基準を満たしていれば取得できます。
キッチンカーは車両そのものがお店として扱われるため、1台1台の車両に取得する必要があります。
営業許可の有効期限は一般的に5年間程度で、更新手続きが必要です。
出店する地域ごとに営業許可を取得する
キッチンカーの営業許可は全国共通ではないため、県外(他県)でも営業する場合は出店する地域ごとに取得しなければなりません。
たとえば、東京都と千葉県で営業したい場合、東京都と千葉県の両方の保健所で営業許可の取得が必要です。
なお、自治体によって出店できる範囲が異なる点には注意しましょう。
東京都や京都府などのように営業許可を取得した都道府県内であれば一円で営業できる地域がある一方で、福岡県のように出店できる範囲に制限がある地域もあります。
また、大阪府と和歌山県では協定が締結され、両方の都道府県一円で営業できる地域もあるため、事前に最新情報を確認することが大切です。
保健所によって細かい基準や判断が異なる
令和3年6月の改正食品衛生法施行により、営業許可を取得するための合格基準が全国で統一されました。
ただし、調理の工程や品目の数え方など、保健所によって細かい基準や判断が異なる場合があります。
キッチンカーを準備する前に、どの地域で営業許可を取得するのか、どんなメニューを提供するのか、を明確にしたうえで必ず保健所へ事前相談しましょう。
なお、令和7年6月から、滋賀県、京都府、⼤阪府、兵庫県、奈良県、和歌⼭県、徳島県では、キッチンカー営業許可基準が共通化されています。
営業許可申請には食品衛生責任者の資格が必要
キッチンカーの営業許可を取得するためには、食品衛生責任者の資格が必要です。
食品衛生責任者とは、飲食店で食品を取り扱う際に、衛生管理の責任者として配置が義務付けられている人のことです。
食品衛生責任者の資格は、全国の食品衛生協会による食品衛生責任者養成講習会を受講すれば、1日で取得できます。
講習時間は6時間で、受講料は各都道府県によって差がありますが、10,000円程度です。
また、オンライン(e-ラーニング)で講習を受けることもできるため、希望する場合は各協会のホームページで申し込み方法を確認してみてください。
特定の資格保有者は受講が不要
以下のような特定の資格保有者は食品衛生責任者として認められるため、講習会の受講は不要です。
詳しくは保健所に確認してみてください。
- 食品衛生監視員又は食品衛生管理者になる資格要件を満たす者(医師、歯科医師、薬剤師、獣医師または医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学又は農芸化学の課程を修めて卒業した者など)
- 調理師
- 製菓衛生師
- 栄養士
- 管理栄養士
- 船舶料理士
- と畜場法第7条に規定する衛生管理責任者もしくは同法第10条に規定する作業衛生責任者
- 食鳥処理衛生管理者になる資格を有する者
キッチンカーの営業許可の取得費用(申請手数料)
キッチンカーの営業許可を申請する際は、16,000~19,000円程度の手数料がかかります。
各地域によって差があるため、事前に確認しておきましょう。
キッチンカーの営業許可申請から取得までの流れ
キッチンカーの営業許可を取得する流れは、以下の通りです。
- 保健所に事前相談する
- キッチンカーを準備する
- 保健所に営業許可申請の必要書類を提出する
- 保健所でキッチンカーの施設検査を受ける
- 合格したら営業許可証を受け取る
手続きをスムーズに進めるために、営業許可を取得する流れを把握しておきましょう。
1.保健所に事前相談する
まずは、出店場所の地域を管轄する保健所に事前相談しましょう。
保健所によって細かい判断や運用ルールが異なるため、どんなメニューを提供する予定か、どの地域で営業する予定か、を伝えたうえで必要な設備の条件を確認します。
2.キッチンカーを準備する
保健所で確認した基準をもとに、営業許可に対応したキッチンカーを準備しましょう。
給排水設備、手洗い設備、保管設備、作業動線など、すべてが営業許可基準を満たしている必要があります。
特にキッチンカーは、限られた車内スペースの中で衛生基準を満たす設計が求められるため、キッチンカーの製作会社に相談しながら進めると安心です。
3.保健所に営業許可申請の必要書類を提出する
次は、営業許可申請の必要書類を記入して提出します。
先に書類の提出を求められる場合もあれば、キッチンカーの検査日にまとめて提出する場合もあるため、提出のタイミングは保健所の指示に従いましょう。
たとえば、東京都で営業許可を申請する場合は、以下の書類の提出が必要です。
- 営業許可申請書
- 施設の構造および設備を示す図面
- 営業の大要
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの(食品衛生責任者手帳等)
- 許可申請手数料
また、営業許可申請書の書き方は、東京都保健医療局の自動車関係営業許可申請等の手引で確認することができます。
4.保健所でキッチンカーの施設検査を受ける
申請に必要な書類を揃え、キッチンカーも準備できたら検査日を決めましょう。
キッチンカーの検査は、保健所に車両を持ち込んで実施されます。
連絡した日に検査してもらえるものではないので、事前に担当者と日程を調整する必要があります。
保健所の担当者による検査では、キッチンカーの設備に不備がないかを確認してもらいます。
石鹸・消毒液の設置を忘れがちなので、注意が必要です。
不備があれば不合格となり、再検査に余計な時間と手間がかかるので1回で合格できるように、保健所が提示した条件通りにキッチンカーを製作しましょう。
もし不備があったとしても、再検査を受けて合格できれば問題ありません。
5.合格したら営業許可証を受け取る
晴れて検査に合格すれば、1週間程度で営業許可証が交付されます。
交付予定日には「営業許可証交付予定日」のお知らせと認印を用意して、保健所にて交付を受けましょう。
営業許可証は、キッチンカー内に提示する必要があります。
これでようやく営業が開始できます。
キッチンカーの施設検査で保健所が確認する設備

保健所の施設検査では、主に以下の設備を確認されます。
- 運転席と調理場が区切られた構造
- 給水・排水タンク
- 手洗い設備の水栓
- シンク
- 保管設備
- 換気扇
- 冷蔵庫・冷凍庫
- ゴミ箱
- 仕込み場所
1つずつ詳しく解説していきます。
運転席と調理場が区切られた構造
営業許可を取得するには、キッチンカーの運転席と調理場が完璧に区切られている必要があります。
これは、食中毒を防ぐためで、バンタイプや人気のクイックデリバリーなどの車種は、運転席と調理場が分かれていないため、対策が必要です。
荷台部分にキッチンボックスを搭載するトラックタイプの場合、対策の必要はありません。
給水・排水タンク

キッチンカーには、十分な容量の給水タンクと排水タンクの設置が必須です。
タンクの容量は、提供するメニューによって約40L、約80L、約200Lに分かれます。
参考に、東京都の基準をまとめました。
| 約40L | ・簡易な調理のみ(温める・揚げる・盛り付けるなど)を行うこと |
| 約80L | ・大量の水を要しない調理を行うこと |
| 約200L | ・大量の水を要する調理を行うこと |
3.手洗い設備の水栓
手洗い設備には、肘レバー式、センサー式、足踏み式、押しボタン式などのように手を触れずに操作できる水栓が必要です。
手洗い後に再び蛇口を触れ、手が汚染されてしまうことを防ぐ目的があります。
また、石鹸・消毒液などの有無も合わせて確認されます。
4.シンク

シンクの数や大きさも各保健所で基準が決められています。
一般的には手洗い専用シンクと調理器具の洗浄用シンクの最低2つの設置が義務付けられますが、3つのシンク設置が必要なところもあるようです。
シンクの大きさも、奥行き・幅・深さまで細かく規定されている場合があります。
保健所の担当者の主観で「小さい」と判断され、改造し直したという話も聞くので、シンクの数と大きさも事前に必ず確認しておきましょう。
5.保管設備
食品・調理器具・容器などの保管設備もチェックされます。
チェックされるポイントは扉がついているかどうか、その扉が虫やホコリなどが入らないように隙間なく密閉できるかどうかです。
キッチンカーをDIYで自作する場合は、寸法違いで隙間ができないように注意しましょう。
6.換気扇

換気扇がないキッチンカーは営業許可を取得することができません。
ただ単に換気扇を設置するだけでなく、虫が入ってこないように網戸付きの換気扇にするなどの対策も必要です。
キッチンカーは熱がこもりやすく、夏場は特に室内の温度が上がりがちなため、換気扇を設置することは営業許可のためだけでなく、車内の快適性にもつながります。
7.冷蔵庫・冷凍庫
保冷が必要な食材を扱う場合、冷蔵庫(冷凍庫)の設置が義務付けられています。
クーラーボックスと保冷剤で許可がおりる地域もあるようですが、大半の場合は冷蔵庫(冷凍庫)が必要です。
調理台と一緒になった冷蔵庫であれば、スペースを取らず狭い車内にも設置することができます。
また、キッチンカーの走行中も冷蔵庫(冷凍庫)の電源が切れないことを求められる場合があり、その場合は発電設備も用意しなければなりません。
8.ゴミ箱
ゴミ箱の設置も営業許可の条件の1つです。
蓋つきのものであればOKですが、大きさを指定される場合もあるようです。
9.仕込み場所
営業許可を取得するうえで重要なのが仕込み場所の確保です。
販売するメニューによっては、キッチンカー以外に仕込み(具材の下準備)をするための施設を確保しなければ営業許可がおりないケースがあります。
かつ、仕込み場所にも営業許可証の取得が必要です。
仕込みの例としては、下記のようなものがあります。
- 焼きそばに使う肉、キャベツ、人参などの具材を切る
- タコ焼きに使うタコを切る
- クレープ生地を作るために粉と牛乳を混ぜる
このような「切る・混ぜる」といった作業は異物混入・食中毒のリスクを伴うため、屋内での作業を義務付ける保健所が多く、自宅での仕込みは多くの保健所で禁止されています。
コストを抑えて仕込み場所を確保する方法としては、シェアキッチンを借りる・知り合いの飲食店を間借りするなどが考えられます。
ただ、どの調理工程を仕込みと判断するかは各保健所によって異なるため、事前に保健所に問い合わせておきましょう。
キッチンカーの営業許可を取得する際の注意点
営業許可を取得するにあたって、特に注意すべきポイントがあります。
キッチンカーを製作する前に保健所へ相談する
キッチンカーの営業許可は、保健所が定めた基準を満たしていなければ取得できません。
そのため、保健所へ事前相談してからキッチンカーを製作または改造しましょう。
キッチンカーを製作してから基準を満たしていないことが判明すると、大幅な手直しが必要になるケースもあります。
余計な費用や時間もかかるため、必ず保健所へ事前相談し、必要な条件を把握しておくことが重要です。
営業許可はキッチンカーの台数分取得する
複数台のキッチンカーで営業をお考えの場合は、台数分の営業許可を取得しましょう。
たとえば、同じ事業者が2台のキッチンカーで同じメニューを提供する場合でも、車両ごとに取得する必要があります。
また、台数分の費用や時間もかかるので、あらかじめ営業許可を取得するまでのスケジュールやコストを想定しておくと安心です。
不安な場合はキッチンカーの製作会社に相談する
営業許可の手続きに不安がある場合は、キッチンカーの製作会社に相談するのもおすすめです。
キッチンカーの製作実績が豊富な会社であれば、保健所の指摘を踏まえた設計や、地域ごとの傾向を考慮したアドバイスを受けられる場合があります。
また、申請の代行や取得をサポートしてくれる場合もあるため、初めてキッチンカーを開業する方は、一度相談してみるとよいでしょう。
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まとめ
キッチンカーを開業する際は、出店する地域ごとに営業許可(飲食店営業)の取得が必要です。
手続きの進め方を一歩間違えると、余計な費用や時間がかかったり開業計画に遅れが出てしまう場合もあります。
わからないことがあれば保健所やキッチンカーの製作会社に事前相談しながら、開業準備を進めていただけたらと思います。
キッチンカーの開業についてもっと知りたい方は、こちらの記事もお読みください。
▼キッチンカーの開業手順