キッチンカーには主に「キッチントラック」「バンタイプ」「牽引タイプ」の3種類があります。
なかでも牽引タイプは、トレーラー部分を一般車両でけん引する構造で、自由度の高い内装や広い調理スペースを確保できる点が特徴です。
移動販売だけでなく定住型の店舗としても活用でき、出店エリアや営業スタイルに応じて柔軟に運用できます。
本記事では、牽引タイプのメリットや注意点、開業時のポイントをわかりやすく解説します。
キッチンカーの種類
まずは、代表的なキッチンカーの種類を3つ紹介します。
キッチントラック

キッチントラックは、軽トラックや普通車トラックの荷台部分を活用し、調理設備を備えた移動販売用の車両です。
見た目から「キッチンカー」と直感的にわかるため、イベントや路上販売での認知度が高く、集客に適しています。
また、車体のデザインや装飾を工夫して、提供する料理やブランドのイメージを表現でき、視覚的なアピールも可能です。
機動性に優れ、出店場所を柔軟に選べることから、幅広い販路展開にも向いています。
キッチントレーラー(牽引タイプ)

キッチントレーラーは、調理設備を備えたトレーラーを一般車両で牽引して使用するタイプのキッチンカーです。
エンジンをもたず単体では走行できないため、必要に応じて牽引車と連結して営業します。
トレーラー単体の製造や導入が可能で、既存の牽引用車両を活用すれば、車両を改造することなく開業できます。
普通車免許で運転できる軽量タイプもあり、イベントや臨時出店など、多様なシーンで活躍するキッチンカーです。
バンタイプ
バンタイプのキッチンカーは、軽バンや普通車バンと同様の見た目のまま、車内に調理設備を組み込んだ移動販売用の車両です。
見た目は一般車両とほぼ変わらないため、目立ちすぎず自然な印象を与えます。
また、通常の車と同じ感覚で運転でき、取り回しや駐車の利便性が高く、都市部や狭い路地での営業も安心して行えるでしょう。
移動販売を手軽に始めたい場合におすすめの選択肢で、初めてのキッチンカー開業にも向いています。
牽引タイプキッチンカー(キッチントレーラー)のメリット
ここからは、牽引タイプのキッチンカーの魅力や特徴について見ていきましょう。
車高が低いのでお客様と目線が近い
牽引タイプのキッチントレーラーは、地面からの高さが低いため来店客との距離感が近く、自然な形で接客できることがメリットです。
特に手渡しで提供する飲食物やスイーツなどは、やり取りが快適になり、注文から受け取りまでの流れがスムーズに進みます。
低めの車高は、少人数での営業でも効率よく来店客とのコミュニケーションを取れ、顧客満足度の向上やリピーターの獲得にも貢献するでしょう。
視覚的にも親しみやすく、出店先で安心感を与えられる点も魅力です。
内外装の自由度が高い
牽引タイプのキッチントレーラーは、エンジンを搭載していないため、内外装を自由に設計できます。
車両から切り離して扱え、独自のデザインやカラーリングを施すことも容易で、提供するメニューやブランドイメージに合わせた空間づくりが可能です。
また、調理動線や接客スペースも柔軟に確保でき、複雑な調理工程や多人数でのオペレーションにも対応します。
さらに、ライフラインの接続も容易で、水回りや電力設備を充実させれば、固定店舗に近い環境で質の高い料理を提供できることもメリットです。
出店可能なエリアが多い
車両から切り離して設置できるため、牽引タイプのキッチントレーラーを活用すれば出店する場所の幅が広がります。
たとえば、屋内の商業施設や中庭、イベント会場など、従来型の一体型キッチンカーでは難しいスペースにも対応可能です。
さらに、大型の冷蔵庫や収納設備を備えることで、長期間のイベントでもトレーラーを固定したまま営業でき、移動の手間を減らせます。
牽引車での買い出しや移動も容易で、許可があれば大学構内や商業施設内に店舗感覚で設置するなど、多様な営業シーンに幅広く対応します。
導入費用が安い
牽引タイプのキッチントレーラーなら、トレーラー部分のみの導入で済み、初期費用を抑えられます。
既に牽引車を所有していれば、トレーラーを購入するだけで営業を開始でき、車両全体を改造するよりも経済的です。
さらに、牽引車とトレーラーが独立している構造のため、故障や不具合が発生しても部分的な修理や交換で対応できます。
内装や外装のリニューアルも柔軟に行え、長期的な運用でもコスト効率が高く、低予算で開業や拡張を目指す場合におすすめの選択肢です。
定住型店舗としても利用可能
トレーラーを切り離して設置すれば定住型の店舗としても活用できることも、牽引タイプのキッチントレーラーのメリットです。
移動販売として柔軟に営業できるだけでなく、一定期間同じ場所に据え置くことで、固定店舗と同様に集客やリピーター獲得を目指せるでしょう。
移転も容易で、必要に応じて土地を変えながら出店できるため、内装工事の手間や高額な初期投資も抑えられます。
移動と定住の両方に対応できる構造により、状況に応じて最適な営業スタイルを選べる点が、牽引型キッチンカーのメリットです。
牽引タイプキッチンカー(キッチントレーラー)のデメリット
ここでは、牽引タイプのキッチンカーの営業を成功させるために、デメリットも確認しておきましょう。
運転技術が求められる
牽引タイプのキッチントレーラーは、通常の車両より長く、取り回しや駐車時に高度な運転技術が求められます。
特にカーブでの内輪差やブレーキ操作は慣れが必要で、経験の少ない方が操作すると事故のリスクが高まるため注意が必要です。
さらに、総重量が規定を超える場合は牽引免許が必要になり、事前の確認と適切な運転訓練が求められます。
開業初期は特に注意を払い、安全に配慮した運転計画を立てることが大切です。
駐車場が見つかりにくい
牽引タイプのキッチントレーラーは、通常の車両よりも広い駐車スペースが必要になることから、駐車場の確保が課題になりやすいでしょう。
また、牽引車だけでなく、トレーラー部分にも車庫証明が求められることがほとんどであるため、1台分のスペースしかない場合は、追加で駐車場所を確保しなければなりません。
出店時も広い設置面積が必要になり、希望する場所でもスペース不足で断られることもあります。
スムーズに営業するには、事前に十分な駐車スペースと設置場所を確保しておくことが大切です。
種類によっては普通免許で運転できない
牽引タイプのキッチントレーラーを運転する際は、車両総重量やサイズによって、必要な免許が異なる点に注意しましょう。
被牽引車の車両総重量が750kg以下 の場合は牽引免許は不要ですが、750kgを超える 場合は牽引免許が必要になります。
そのため、購入前にトレーラーのサイズや総重量を確認し、必要な免許を取得しておくことが大切です。
免許の要件を満たさない状態で運転すると法令違反になり、安全面でもリスクが高まるため、事前の確認と計画的な準備が必要になります。
燃費が悪化する
トレーラーを牽引する牽引車への負荷が大きくなる牽引タイプのキッチントレーラーは、通常の運転時より燃料消費量が増えます。
特に長距離移動や勾配のある道路では、燃費の低下が顕著になり、運営コストに影響を与える可能性があるでしょう。
また、急発進や急ブレーキを繰り返すと燃費がさらに上がるため、スムーズな運転操作を心掛けることも大切です。
事前に移動ルートや距離を計画することで、経済的かつ安全な運行を行いましょう。
牽引タイプキッチンカー(キッチントレーラー)で開業する際のポイント
ここでは、牽引タイプのキッチンカーで開業する際に、押さえておきたいポイントを解説します。
保健所に相談しながら設計を進める
牽引タイプのキッチントレーラーで開業する際は、営業許可を得るために保健所と密に連携しながら設計を進めることが大切です。
衛生基準を満たした調理・設備配置にすることで、完成後に許可が下りないリスクを避けられます。
特に、設置予定の土地を管轄する自治体の保健所に相談し、自治体ごとの判断基準や注意点を確認しておくと安心です。
わからない部分は専門家や保健所と協議しながら決定することで、許可取得までの手続きをスムーズに進められ、安全かつ効率的に開業できる環境を整えられます。
競合との差別化をする
牽引タイプのキッチントレーラーで開業する場合、競合との差別化が集客に直結します。
まだ数が少なく、存在自体が目を引くというメリットはありますが、個性を詰め込みすぎると何を売りにしているのか伝わりにくくなるでしょう。
大切なのは、顧客が魅力を感じやすいポイントを絞り、シンプルかつ明確に打ち出すことです。
メニューの特徴や提供スタイル、店内の雰囲気など、強みを1つか2つに絞って表現することで他店との差別化が明確になり、初めて訪れる人にわかりやすく訴求できます。
出店したいエリアの規約をチェックする
牽引タイプのキッチントレーラーで開業する際は、出店予定のエリアの規約や制限を事前に確認することが大切です。
特にトレーラーハウス型の店舗は、場所によって設置や営業に制約がある場合があります。
土地を借りる際は、所有者に飲食営業の許可が得られるかを必ず確認しましょう。
契約後に利用制限が判明すると、新たな出店場所を探す手間や費用が発生してしまいます。
近隣住民への配慮や許可の取り付けを事前に行うことで、トラブルを未然に防ぎ、安心して営業できる環境を整えましょう。
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まとめ
牽引タイプのキッチンカーは、トレーラーを切り離して設置できるため、移動販売と定住型店舗の両方に対応できます。
内外装の自由度が高く、競合との差別化や広い出店エリアへの対応も可能です。
一方、運転技術や駐車スペースの確保、免許要件などの制約もあります。
制度や規約を確認しながら計画的に準備することで、柔軟で魅力的な営業スタイルを実現しましょう。